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退去後のハウスクリーニングは必要?費用相場と入居者負担にできるケース

2026年9月8日

コラム投稿元 退去立会い代行・原状回復Navi運営チーム

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退去後のハウスクリーニングは、次の入居者を迎えるうえで実務上ほぼ必須の作業です。ただし、その費用を誰が負担するかは別問題で、国土交通省のガイドラインでは貸主負担が原則とされています。入居者に負担させるには、契約時に一定の要件を満たした特約を結んでおく必要があります。

この記事では、管理会社担当者・オーナー向けに、ハウスクリーニングの費用目安、入居者負担にできる条件、請求時に押さえておきたい注意点を整理します。退去を控えた入居者の方が「請求された金額が妥当か」を確認する際の参考にもなるはずです。

原則は貸主負担、特約があれば入居者負担も可能

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復を「賃借人の居住・使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義しています。民法621条も、通常損耗や経年変化は借主の原状回復義務に含まれないと明文化しています。

この考え方に沿うと、入居者が通常の清掃を行っていれば、退去後に専門業者を入れて行うクリーニングは「次の入居者を確保するための行為」であり、貸主負担が原則です。ガイドラインでも、専門業者による全体のハウスクリーニングは貸主負担の例として挙げられています。

一方で、契約自由の原則から、当事者の合意によってこの原則を変えることは可能です。ガイドラインは、通常損耗の修繕やクリーニングを借主負担とする特約について、次の3つの要件を満たす場合に有効になり得るとしています。

  1. 特約の必要性があり、かつ暴利的でないなどの客観的・合理的な理由が存在すること
  2. 借主が、特約によって通常の原状回復義務を超えた負担をすることを認識していること
  3. 借主が、その負担を受け入れる意思表示をしていること

実務上は、契約書の特約条項にクリーニング費用の負担と概算金額を明記し、重要事項説明の際に口頭でも説明して署名を得る、という手順が取られています。金額が明示されていない特約や、居住期間・間取りに比して著しく高額な特約は、消費者契約法10条により無効と判断されるリスクがあるため注意が必要です。

ハウスクリーニング費用の目安

費用は間取り、汚れの程度、地域、オプションの有無で変動します。あくまで目安として、空室状態での一般的な価格帯は次の通りです。

間取り 費用の目安
ワンルーム・1K 1万5千〜3万円程度
1DK・1LDK 2万5千〜4万5千円程度
2DK・2LDK 4万〜6万円程度
3LDK以上 5万5千〜8万円程度

上記に含まれるのは、キッチン・浴室・トイレ・洗面所の水回り、床の清掃、窓・サッシ、建具や照明の拭き上げなど、室内全体の基本的なクリーニングです。次のような項目は別料金となることが一般的です。

  • エアコンの内部洗浄(1台あたり1万円前後が目安)
  • レンジフードの分解洗浄
  • 床のワックス剥離・再塗布
  • ベランダ・バルコニーの高圧洗浄
  • 喫煙やペットによる臭気の除去、消臭作業

同じ地域でも業者によって価格差があるため、複数社から見積もりを取って比較するのが現実的です。原状回復工事とクリーニングを同じ業者に一括で依頼すると、工程調整の手間が減り、空室期間の短縮にもつながります。

入居者に負担させられるケースと難しいケース

負担を求めやすいケース

  • 契約書に金額つきのクリーニング特約があり、契約時に説明・署名を得ている
  • 入居者の使い方に起因する汚れ(油汚れの放置、タバコのヤニ、ペットの臭いなど)があり、通常の清掃では落ちない
  • ゴミの放置や水回りのカビなど、善管注意義務違反と評価できる状態で退去している

2番目・3番目のケースは特約の有無にかかわらず、原状回復として汚損部分の清掃費用を請求できる可能性があります。ただし、この場合も「通常の使用を超える汚れ」であることを写真で示せることが前提です。

負担を求めにくいケース

  • 契約書にクリーニング特約がない、または金額が書かれていない
  • 特約はあるが契約時に説明した記録がなく、入居者が「聞いていない」と主張している
  • 入居者が丁寧に清掃して退去しており、汚れが通常損耗の範囲にとどまる(特約がない場合)
  • 特約の金額が相場から大きく乖離している

「入居者が自分で掃除したのだからクリーニング代は払わない」という主張はよくありますが、有効な特約がある場合は一般的には請求が認められる傾向にあります。とはいえ、個別事情によって判断は分かれるため、金額の妥当性と説明の記録を整えておくことが重要です。

請求時に注意したい3つのポイント

1. 原状回復費用との二重計上を避ける

クロスを全面張り替える部屋で「クロスの清掃費」を別途計上する、床を張り替えるのに「床のワックス費」を請求する、といった重複は入居者の不信を招きます。工事範囲とクリーニング範囲を整理し、精算書の項目を分けて記載してください。

2. 特約の金額と実際の請求額を一致させる

特約に「2万5千円」と書いてあるのに、実際の請求が4万円になっているケースは争いの原因になります。実費が特約の金額を上回った場合でも、特約で合意した金額を上限とする運用が一般的には無難です。逆に実費が下回った場合は、差額の扱いを契約時にどう定めていたかを確認してください。

3. 退去立会いで汚れの状態を共有する

汚れの程度で負担を判断する場合、退去立会いで入居者と一緒に状態を確認し、写真を残しておくことが後日の説明を容易にします。立会いの進め方は退去立会いの流れとチェックリストにまとめています。

契約時にできる準備

退去時のクリーニング費用をめぐる争いは、退去時ではなく契約時の準備でほぼ決まります。

  • 特約条項に「退去時ハウスクリーニング費用」として概算金額と負担者を明記する
  • 重要事項説明で特約の内容を口頭説明し、説明した旨を記録に残す
  • 金額は地域相場と間取りに見合った水準に設定し、定期的に見直す
  • 入居時にクリーニング済みであることを写真で記録し、退去時との比較に使えるようにする

負担区分の考え方を全体として整理したい場合は、原状回復の負担区分|貸主負担と借主負担の境界線もあわせてご覧ください。

まとめ

退去後のハウスクリーニングは、次の入居者を迎えるうえで実務上欠かせない作業ですが、費用は貸主負担が原則です。入居者に負担させるには、必要性と合理性があり、金額を明示し、契約時に説明と同意を得た特約が要ります。費用は間取りによって1万5千円〜8万円程度が目安で、エアコンや特殊清掃は別料金になるのが一般的です。

クリーニングを原状回復工事とあわせて依頼できる地域の業者を探すなら、退去立会い代行・原状回復Naviの都道府県ページから、対応エリアやサービス内容で事業者を比較してみてください。

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