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タバコのヤニ汚れ・臭いの原状回復費用は請求できる?特約の有無で解説

タバコのヤニ汚れ・臭いの原状回復費用は請求できる?特約の有無で解説

2026年7月30日

コラム投稿元 退去立会い代行・原状回復Navi運営チーム

賃貸物件の退去立会いで悩ましいのが、タバコによるクロスのヤニ汚れや部屋にしみついた臭いの扱いです。「喫煙による損耗は借主負担」というイメージは広く知られていますが、実際に費用を請求するには一定の条件を満たす必要があります。本記事では、タバコの原状回復費用を借主に請求できるケース・できないケースを、喫煙可否や特約の有無に分けて整理し、費用相場やトラブル予防のポイントまで解説します。退去精算で迷わないための実務知識としてお役立てください。

タバコの汚れ・臭いは原状回復の対象になるのか

まず前提として、賃貸物件の原状回復は「借りたときの状態に戻すこと」ではありません。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、経年変化や通常の使用による損耗(通常損耗)は貸主負担、借主の故意・過失や善管注意義務違反による損耗は借主負担、と整理されています。

この考え方に照らすと、タバコのヤニ汚れや臭いは重要な論点になります。ガイドラインでは、喫煙によるクロスの変色やにおいの付着について、次のように扱われる傾向があります。

  • 喫煙によりクロス等がヤニで変色したり、臭いが付着している場合、通常の使用による損耗を超えると判断されやすい
  • その場合、クリーニングや張り替えなどの費用は借主負担とされるケースが一般的

つまり、タバコによる汚損は「通常損耗ではなく借主の負担になりやすい」というのが基本的な考え方です。とはいえ、これはあくまで一般的な整理であり、実際の請求可否は喫煙可否や契約内容によって変わります。原状回復の基本的な枠組みについては、原状回復とは?国土交通省ガイドラインの基本をわかりやすく解説もあわせてご覧ください。

喫煙可否・特約の有無による違い

タバコの原状回復を考えるうえで、次の2つの軸が重要です。

  1. 物件が喫煙可か禁煙か
  2. 契約書に喫煙に関する特約があるか

それぞれのパターンを整理してみましょう。

パターン別の考え方

ケース 喫煙可否 借主負担になりやすいか
① 禁煙特約があり室内で喫煙 禁煙 借主負担となりやすい(契約違反の側面も)
② 特約なし・室内喫煙で明らかなヤニ汚れ・臭い 明示なし 通常損耗を超える部分は借主負担とされやすい
③ 喫煙可物件で通常の範囲の使用 喫煙可 判断が分かれやすく、貸主負担となる可能性もある

禁煙特約がある場合

契約書に「室内での喫煙を禁止する」といった禁煙特約がある物件で借主が喫煙し、ヤニ汚れや臭いが生じた場合は、借主の負担とされる可能性が高くなります。禁煙という約束に反した使用であり、それによって生じた損耗は借主の責任と評価されやすいためです。

ただし、特約が有効とされるには、一般的に「借主が特約の内容を認識し、合意していること」が求められるとされています。契約書に記載しただけでなく、重要事項説明などで説明していると、より確実です。

特約がない場合

喫煙に関する特約が特にない物件でも、室内喫煙によってクロスが黄ばんだり、拭き取りでは落ちない臭いが付着している場合には、通常損耗を超える部分について借主負担とされることが一般的です。ガイドラインでも喫煙によるヤニ・臭いは借主負担として例示される傾向があります。

一方で、「どこまでが通常の使用か」という線引きは難しく、少量の喫煙や短期間の使用など、通常損耗の範囲と判断される可能性もあります。

喫煙可物件の場合

喫煙可をうたっている物件では判断が難しくなります。喫煙を許容している以上、ある程度のヤニ汚れや臭いは想定内であり、通常損耗として貸主負担と考える余地があるためです。喫煙可物件でトラブルを避けたい場合は、退去時のクリーニングや消臭費用の負担について契約書であらかじめ明確にしておくことが有効です。

負担区分の全体像を押さえたい場合は、原状回復費用の負担区分|貸主負担と借主負担の境界線を解説も参考になります。

クロスの張り替えと減価償却(耐用年数)の考え方

タバコのヤニ汚れでクロスを張り替える場合、注意したいのが「全額を借主に請求できるとは限らない」という点です。

ガイドラインでは、クロス(壁紙)などの内装材について、経過年数に応じて借主負担割合を減らす「減価償却」の考え方が示されています。クロスの場合、一般的に耐用年数はおよそ6年とされ、入居期間が長いほど借主の負担割合は小さくなり、6年を経過するころには残存価値が1円程度まで下がるという整理です。

そのため、たとえヤニ汚れが借主の責任であっても、

  • 施工費(工事の手間賃)は借主負担とされやすい
  • 材料であるクロス自体の価値は経過年数分を差し引く

といった調整が必要になるケースがあります。この点を理解しないまま「張り替え費用全額を請求」してしまうと、後々のトラブルにつながりかねません。詳しくはクロスの原状回復費用相場と耐用年数6年の考え方|減価償却を図解で解説しています。

なお、ヤニ汚れが1面だけでなく部屋全体・住戸全体に及んでいる場合、臭いや色の統一の観点から施工範囲をどこまで借主負担とするかも論点になります。一般的には、汚損した面を中心に、必要かつ合理的な範囲での請求が妥当とされています。

タバコ関連の原状回復費用の相場

具体的な費用は物件の広さや汚れの程度によって大きく変わりますが、目安として次のような幅で考えられます。金額はあくまで相場であり、地域や業者によって異なります。

作業内容 費用の目安(相場)
クロス張り替え 1㎡あたり1,000〜1,500円程度
ヤニ用の特殊クリーニング・ヤニ取り洗浄 部屋の広さに応じて数千円〜数万円
消臭・脱臭施工(オゾン脱臭など) 1回あたり1〜3万円程度
ハウスクリーニング全般 ワンルームで1.5〜3万円程度、広さで増減

ヤニによる臭いは、クロスを張り替えても下地や建具に残ることがあり、消臭施工を組み合わせるケースもあります。臭いは客観的な数値化が難しく、請求時に借主の納得を得にくいため、後述する証拠の記録が特に重要です。

請求トラブルを防ぐための実務ポイント

タバコの原状回復費用は金額が大きくなりやすく、借主とのトラブルに発展しがちです。スムーズに精算するために、次の点を押さえておきましょう。

1. 入居時の状態を記録しておく

入居前の室内の状態を写真で残しておくと、退去時の汚損が入居中に生じたものだと示しやすくなります。「もともと汚れていた」という主張を避けるためにも、入居時・退去時の記録は欠かせません。

2. 契約書に喫煙・消臭に関する取り決めを明記する

トラブルの多くは「聞いていない」「知らなかった」から生まれます。禁煙特約や退去時のクリーニング・消臭費用の負担について、契約書に具体的に記載し、契約時にしっかり説明しておくことが予防につながります。

3. 退去立会いで汚損箇所を客観的に確認する

退去立会いの際に、ヤニ汚れや臭いの箇所を借主とともに確認し、写真を撮っておくと、後の説明がスムーズです。臭いのように主観が入りやすい項目こそ、複数の視点で確認しておくことが大切です。立会いで見落としやすいポイントは退去立会いチェックリスト完全版|見落としやすい箇所TOP10にまとめています。

4. 敷金精算の根拠を明確にする

タバコの費用を敷金から差し引く場合は、なぜその金額になるのか、負担区分と減価償却をふまえた根拠を示すことが重要です。精算内容が不透明だと、返還をめぐるトラブルに発展しかねません。敷金精算の流れは敷金返還のルールと精算の流れ|返還時期・トラブル防止策を解説で確認できます。

判断に迷ったら専門業者・代行の活用も

タバコの汚れ・臭いは、通常損耗との線引きや減価償却の計算、臭いの評価など、判断が難しい要素が多く含まれます。特に管理戸数が多い場合や遠方物件の場合、大家本人がすべてを対応するのは負担が大きくなりがちです。

こうしたケースでは、原状回復の判断や退去立会いに慣れた専門業者・代行サービスを活用するのも一つの方法です。第三者の立場で汚損状況を確認し、費用の根拠を整理してもらうことで、借主とのトラブルを避けやすくなります。業者選びの際は、退去立会い代行・原状回復・クリーニング会社を比較できる退去立会い代行Naviで自分の物件に合ったサービスを探すと効率的です。

まとめ

タバコのヤニ汚れや臭いの原状回復費用は、通常損耗を超える損耗として借主負担とされることが一般的です。ただし、実際に請求できるかどうかは、次のポイントで変わってきます。

  • 禁煙特約がある物件での喫煙は借主負担となりやすい
  • 特約がなくても、明らかなヤニ汚れ・臭いは借主負担とされる傾向
  • 喫煙可物件では貸主負担と判断される余地もある
  • クロス張り替えは耐用年数(一般的に約6年)に応じた減価償却を考慮する必要がある

トラブルを防ぐには、入居時・退去時の状態を記録し、契約書に喫煙や消臭に関する取り決めを明記しておくことが有効です。判断に迷う場合は専門業者や代行サービスを活用し、客観的な根拠に基づいた精算を心がけましょう。

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