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敷金トラブルの少額訴訟とは?利用方法と手続きの流れを解説

敷金トラブルの少額訴訟とは?利用方法と手続きの流れを解説

2026年8月5日

コラム投稿元 退去立会い代行・原状回復Navi運営チーム

賃貸物件の退去精算では、敷金の返還額や原状回復費用の負担をめぐって借主と意見が食い違うことがあります。話し合いで解決できない場合、借主側から「少額訴訟」を起こされるケースも少なくありません。本記事では、大家(オーナー)や管理会社の担当者に向けて、敷金 少額訴訟の基本的な仕組み、手続きの流れ、費用、そして被告となった場合の対応や専門家への相談タイミングを実務目線で解説します。トラブルを未然に防ぐヒントもあわせて紹介します。

少額訴訟とは?

少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払いを求める場合に利用できる、簡易裁判所の特別な訴訟手続きです。通常の訴訟に比べて手続きが簡素で、原則として1回の期日で審理を終え、その日のうちに判決が出るのが大きな特徴とされています。

敷金・原状回復トラブルでは、返還されなかった敷金や過大に請求された原状回復費用が数万円〜数十万円の範囲に収まることが多く、この金額帯とスピード感が合致するため、借主が利用しやすい制度として知られています。

少額訴訟の主な特徴

項目 内容
対象金額 60万円以下の金銭支払い請求
管轄 原則として被告の所在地などを管轄する簡易裁判所
審理 原則1回の期日で結審
判決 期日当日に言い渡されるのが一般的
利用回数制限 同じ簡易裁判所で年間10回までとされています
控訴 できない(不服がある場合は異議申立てのみ)

少額訴訟は、あくまで金銭の支払いを求める手続きです。「立ち退きを求める」「建物の明渡しを求める」といった請求には利用できない点に注意が必要です。

敷金・原状回復トラブルで少額訴訟が使われる典型例

退去精算をめぐるトラブルでは、次のようなケースで借主から少額訴訟が提起されることがあります。

  • 敷金がまったく返還されず、借主が全額返還を求める
  • 原状回復費用として請求された金額が高すぎると借主が主張する
  • 通常損耗・経年劣化まで借主負担とされたと借主が反論する
  • 特約による負担請求の有効性に借主が納得しない

こうした争点の背景には、原状回復費用の負担区分に対する認識のズレがあることがほとんどです。負担の考え方については、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が実務上の重要な指針とされています。基本的な考え方は原状回復とは?国土交通省ガイドラインの基本をわかりやすく解説で整理していますので、あわせて確認しておくと安心です。

また、どこまでが貸主負担でどこからが借主負担なのかは、原状回復費用の負担区分|貸主負担と借主負担の境界線を解説で具体的に解説しています。争点を整理するうえで役立ちます。

少額訴訟の手続きの流れ

少額訴訟がどのように進むのかを、大まかな流れで見てみましょう。ここでは借主が原告、大家・管理会社が被告となるケースを想定します。

1. 訴状の提出(原告側)

原告(借主)が簡易裁判所に訴状を提出します。訴状には、請求金額・請求の理由・証拠などが記載されます。少額訴訟を選択する旨も明示されます。

2. 訴状の送達(被告への通知)

裁判所から被告(大家・管理会社)へ訴状や期日呼出状が郵送されます。ここで初めて訴えられたことを知るケースが多いため、書類が届いたら放置せず内容をよく確認することが重要です。

3. 答弁書の提出(被告側)

被告は、原告の主張に対する反論をまとめた「答弁書」を提出します。原状回復費用の内訳、精算書、賃貸借契約書、入退去時の写真などの証拠を整理して、自らの請求や敷金精算が妥当であることを示す準備をします。

4. 通常訴訟への移行を求めることも可能

被告は、最初の期日で弁論をする前であれば、少額訴訟ではなく通常の訴訟手続きに移行するよう求めることができるとされています。争点が複雑で1回の審理では判断が難しいと考える場合、この選択肢を検討する余地があります。

5. 審理(口頭弁論)

原則として1回の期日で、原告・被告双方が主張と証拠を出し合います。裁判官が双方から事情を聞き、その場で和解を促すこともあります。

6. 判決または和解

審理の結果、その日のうちに判決が言い渡されるのが一般的です。判決では、分割払いや支払猶予といった配慮がなされることもあります。判決に不服がある場合、控訴はできませんが、同じ簡易裁判所へ異議を申し立てることができます。

少額訴訟にかかる費用

少額訴訟は、比較的低コストで利用できる手続きとされています。主な費用は次のとおりです。

費用項目 おおよその目安
申立手数料(収入印紙) 請求額に応じて数千円程度
郵便切手(予納郵券) 数千円程度
(代理を依頼する場合)専門家費用 事案により変動

手数料や郵券の額は請求金額や裁判所によって異なるため、正確な金額は管轄の簡易裁判所に確認することをおすすめします。被告側の負担としては、答弁書作成や資料準備の手間、必要に応じた専門家への相談費用が中心になります。

被告(大家・管理会社)が訴えられたときの対応ポイント

借主から少額訴訟を起こされた場合、大家・管理会社としては次の点を押さえておくとよいでしょう。

書類を放置しない

裁判所からの書類を無視して期日に出頭せず、答弁書も出さないと、原告の主張がそのまま認められる可能性があります。まずは内容を確認し、期日と提出期限を把握しましょう。

証拠を整理する

退去精算の妥当性を示すには、客観的な証拠が欠かせません。具体的には次のような資料が役立ちます。

  • 賃貸借契約書(特約条項を含む)
  • 入居時・退去時の室内写真
  • 原状回復工事の見積書・請求書・内訳
  • 敷金精算書
  • 立会い時の記録やチェックシート

特に入居時の状態を示す写真は、経年劣化・通常損耗と借主の故意過失による損傷を区別するうえで重要です。記録の残し方は入居時チェックが原状回復トラブルを防ぐ|写真記録と記録の残し方で詳しく解説しています。

特約の有効性を確認する

借主負担を根拠づける特約がある場合でも、その特約が有効と認められるかどうかは慎重な判断が必要です。一般的には、借主に一方的に不利な特約は無効と判断されることがあるとされています。特約の限界については原状回復の特約は有効?無効?判例から見る特約の限界を参考にしてください。

早めに専門家へ相談を

少額訴訟は手続きが簡素とはいえ、法的な主張の組み立てや証拠の評価には専門的な判断が求められます。請求額が大きい、争点が複雑、特約の有効性が問題になっている、といった場合には、弁護士や司法書士などの専門家へ早めに相談することをおすすめします。

相談先としては、次のような窓口が考えられます。

  • 弁護士・認定司法書士(一定額までの代理が可能とされています)
  • 各地の弁護士会や司法書士会の法律相談
  • 自治体の無料法律相談窓口
  • 法テラス(日本司法支援センター)

専門家に相談することで、通常訴訟へ移行すべきか、和解を目指すべきか、といった方針を早い段階で判断しやすくなります。

そもそもトラブルを起こさない体制づくりが最善

少額訴訟は最終的な解決手段ですが、そこに至るまでには双方に時間的・精神的な負担がかかります。そもそも紛争化させないための退去精算の運用が、最も効果的な対策といえます。

  • 入退去時の写真・チェックシートで室内状態を記録する
  • 原状回復費用の負担区分をガイドラインに沿って説明する
  • 精算内訳を明確に提示し、借主に丁寧に説明する
  • 敷金の返還時期やルールを事前に共有しておく

敷金精算の基本的な流れやトラブル防止策は敷金返還のルールと精算の流れ|返還時期・トラブル防止策を解説で確認できます。また、精算の入り口となる退去立会いを丁寧に行うことも紛争予防につながります。立会いや精算業務の負担が大きい場合は、専門の代行サービスを活用する方法もあります。退去立会い代行・原状回復・クリーニング会社の比較・検索で、自社の運用に合った業者を探してみるのも一つの選択肢です。

まとめ

本記事では、敷金・原状回復トラブルにおける少額訴訟の概要と手続きの流れを解説しました。要点を整理します。

  • 少額訴訟は60万円以下の金銭請求に使える簡易裁判所の手続きで、原則1回の期日で判決が出るとされています
  • 敷金の返還や原状回復費用をめぐって、借主から提起されるケースがあります
  • 被告となった場合は書類を放置せず、契約書・写真・精算書などの証拠を整理することが大切です
  • 争点が複雑な場合は、通常訴訟への移行や専門家への相談を検討しましょう
  • 最善の対策は、日頃の記録と丁寧な精算説明による紛争予防です

訴訟対応は個別の事情によって最適な進め方が変わります。判断に迷う場合は、早めに弁護士や司法書士などの専門家へ相談し、無理のない形で解決を目指してください。

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