退去立会い代行・原状回復Navi

トップコラム › 経年劣化と通常損耗の違いとは?具体例でわかる負担の考え方

経年劣化と通常損耗の違いとは?具体例でわかる負担の考え方

経年劣化と通常損耗の違いとは?具体例でわかる負担の考え方

2026年7月27日

コラム投稿元 退去立会い代行・原状回復Navi運営チーム

退去精算の場面で必ず登場するのが「経年劣化」と「通常損耗」という言葉です。どちらも原則として貸主(大家)負担とされていますが、両者の意味を正しく理解していないと、借主との費用負担交渉でつまずいたり、思わぬトラブルに発展したりすることがあります。

この記事では、経年劣化と通常損耗の違いを整理したうえで、壁紙(クロス)・床・設備といった箇所ごとの具体例を交えて、費用負担の考え方をわかりやすく解説します。読み終える頃には、退去立会いや敷金精算の場面で「これは誰の負担か」を判断する軸が身につくはずです。

経年劣化と通常損耗とは?基本の定義

まずは2つの言葉の意味を整理します。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」でも、原状回復の考え方の前提として、これらの損耗は借主の負担にならないと整理されています。

経年劣化とは

経年劣化とは、時間の経過によって物件や設備が自然に古くなり、価値や機能が低下していくことを指します。人が住んでいるかどうかに関わらず、年月が経てば避けられない変化です。

  • 日光による壁紙や畳の色あせ
  • 給湯器やエアコンなど設備の自然な性能低下
  • 建具や金具の経年による劣化

通常損耗とは

通常損耗とは、借主が物件を普通に生活・使用していく中で生じる、避けられない範囲の損耗を指します。「通常の使用」によって生じるものである点がポイントです。

  • 家具の設置による床のへこみ跡
  • テレビや冷蔵庫の裏の電気焼け(黒ずみ)
  • 日常的な歩行による床の摩耗

2つの違いを一言でいうと

両者は重なる部分もありますが、あえて区別すると次のように整理できます。

区分 主な原因 具体イメージ
経年劣化 時間の経過 日焼けによる色あせ、設備の寿命
通常損耗 通常の生活・使用 家具跡、電気焼け、床の摩耗

重要なのは、経年劣化も通常損耗も、原則として貸主(大家)負担とされている点です。一般的に、これらは家賃に含まれるものと考えられており、借主に原状回復費用を負担させることは難しいとされています。

一方で、借主の故意・過失や善管注意義務違反(善良な管理者としての注意を怠ること)、通常の使用を超える使い方によって生じた損傷は、借主負担となるのが原則です。この境界線については、原状回復費用の負担区分|貸主負担と借主負担の境界線を解説で詳しく整理しています。

壁紙(クロス)の具体例で考える

退去精算で最ももめやすいのが壁紙です。箇所ごとに負担の考え方を見てみましょう。

貸主負担になりやすいケース

  • 日光による自然な色あせ・変色(経年劣化)
  • テレビや冷蔵庫の裏の電気焼け(通常損耗)
  • ポスターや絵画を貼った程度の画びょう・ピン跡(下地ボードの張替えが不要な程度)

これらは通常の生活で生じる範囲とされ、一般的には貸主負担と整理されます。

借主負担になりやすいケース

  • 喫煙によるヤニ汚れやニオイの付着
  • 結露を放置して発生させたカビやシミ
  • 落書きや、下地ボードの交換が必要なほどの大きな穴
  • ペットによるひっかき傷や汚損

これらは通常の使用を超える、あるいは手入れを怠ったことによる損傷とされ、借主負担となりやすい項目です。

壁紙の負担額を考えるときの注意点

クロスには「耐用年数」の考え方があり、ガイドラインでは一般的に6年程度で残存価値が1円に近づくとされています。つまり借主負担となる場合でも、入居年数に応じて負担割合が減っていく点に注意が必要です。長く住んだ借主に対して張替え費用の全額を請求するのは難しいのが一般的です。

床(フローリング・畳・クッションフロア)の具体例

床材は種類によって考え方が少しずつ異なります。

箇所 貸主負担になりやすい例 借主負担になりやすい例
フローリング 家具設置によるへこみ、日焼け 飲み物をこぼした跡の放置、雨の吹き込み放置による腐食
日焼けによる変色、経年での擦り切れ 飲食物のシミ、タバコの焦げ跡
クッションフロア 家具の設置跡、通常の摩耗 キャスター使用による深い傷、水漏れ放置によるカビ

フローリングは畳やクロスと違い、部分補修が可能なケースが多いため、原則として毀損部分の補修費用が対象になるとされています。全面張替えを一律に借主へ請求するのは適切でない場合が多い点に注意しましょう。

設備・その他の具体例

設備(給湯器・エアコンなど)

給湯器やエアコンといった設備の自然な故障や性能低下は、経年劣化として貸主負担が原則です。設備には法定耐用年数もあり、寿命による交換費用を借主に負わせることは一般的にできません。

ただし、取扱いを誤って壊した場合や、清掃を著しく怠って使用不能にした場合などは、借主負担となる余地があります。

鍵・建具

  • 経年による建具のゆがみ・立て付けの劣化 → 貸主負担
  • 鍵の紛失による交換 → 借主負担が一般的

鍵の交換については、防犯上の観点から借主負担とされるケースが多く見られます。

ハウスクリーニング

通常の生活で生じる程度の汚れであれば、退去時のクリーニングは貸主負担が原則とされています。ただし、契約書に「退去時のクリーニング費用は借主負担」といった特約が明記され、借主が合意していれば、その特約が有効と判断されることもあります。特約の有効性は内容の合理性によって判断されるため、慎重な確認が必要です。

大家・管理会社が押さえておきたい実務ポイント

入居前の写真・記録を残す

経年劣化・通常損耗と、借主の過失による損傷を切り分けるには、入居前の状態を客観的に記録しておくことが欠かせません。入退去時に日付入りの写真を残しておくと、精算時の説明がスムーズになります。

立会いでの確認を丁寧に行う

負担区分の判断は、退去立会いの現場で借主と認識をすり合わせておくことがトラブル防止の要です。見落としやすい箇所は退去立会いチェックリスト完全版|見落としやすい箇所TOP10にまとめていますので、あわせて確認しておくと安心です。

精算のルールを理解しておく

負担区分が固まったら、敷金からの精算に進みます。返還時期や精算の流れについては敷金返還のルールと精算の流れで整理しています。

判断に迷うなら専門の代行サービスも選択肢

経年劣化・通常損耗の判断は経験がものを言う場面も多く、大家自身での対応が難しいこともあります。立会いから精算までを専門業者に任せることで、判断のブレやトラブルを減らせるケースもあります。退去立会い代行やクリーニング会社を比較検討したい場合は、退去立会い代行Naviのトップページから探してみてください。

まとめ

経年劣化と通常損耗は、原因が「時間の経過」か「通常の生活・使用」かという違いはあるものの、どちらも原則として貸主(大家)負担とされる点が共通しています。一方で、借主の故意・過失や善管注意義務違反、通常の使用を超える使い方による損傷は借主負担が原則です。

  • 壁紙:日焼け・電気焼けは貸主、喫煙・カビ放置は借主になりやすい
  • 床:家具跡や自然な摩耗は貸主、シミや深い傷は借主になりやすい
  • 設備:自然な故障・性能低下は貸主、誤使用による破損は借主

さらに耐用年数の考え方により、借主負担でも入居年数に応じて負担割合が減っていく点も重要です。判断に迷ったときは国土交通省のガイドラインを軸にしつつ、入退去時の記録を丁寧に残し、必要に応じて専門サービスの活用も検討して、納得感のある精算を目指しましょう。

お住まいのエリアで退去立会い代行会社を探す